先日、ニュース番組を見ていたら、かの方がコメンテーターとして出演されていた。今話題の小説家、今村翔吾さんだ! そんな今村さんの小説が2021年10月に発売された。タイトルは、
✨✨『塞王の楯』✨✨
なんとこのたびご縁があり、発売よりも一足先に読ませていただきました!! 大好きな城、そして石垣を築いた人たちの話ということもあり、入院中(出産の)に読みきってしまった。出産による入院って授乳や搾乳、母親学級、診察などがあって実は結構忙しくて。誰にも邪魔されない夜の読書Timeが私の楽しみだったなぁ~。看護師さんに「寝られないんですか?」って何度も話かけられて(笑) いえ、興奮して止まらなくなっちゃって……寝たくなかったのだよ~。
城や歴史が好きな人は、特にどハマりする本だと思います!
戦国時代といえば武将たちが描かれることが多いが、『塞王の楯』は、一乗谷城の落城~関ヶ原の戦いがあった頃を生きた石工職人を主人公にした小説だ。なかでも、ただの石工職人ではなく「穴太衆(あのうしゅう)」を描いたものがたりである。表には出てこない人々の生き様を知ることで、少し違った戦国時代の一面を見ることができるかもしれない。
「穴太衆」とは?
ご存知の通り、寺院や城の石垣、石仏は石工職人が手がけたもの。私たちのような城マニアは城で見かける石垣・石積みに感動し、人間性を感じて笑ったりしている。ちなみに、みなさんがイメージする城に築かれた高石垣は江戸時代に積まれたもので、この頃の石垣は誰でも割れるように石割の方法が流通していたようだ。
少し遡って・・・戦国時代の石垣は、まだまだ発展途上! 腰ほどの高さの石を何段か重ねて高さを設けてみたり。石自体も、切って形を整えた石ではなく自然石を積んだゴツゴツした表情が特徴である。適切な石を調達し積むにはそれなりの経験とワザが必要で、技術者は限られていた。
そんな戦国時代には、石工職人の中でもとりわけ名を馳せた人たちが存在する。そう、近江出身の石工集団「穴太衆」だ。
日本各地には穴太衆によって石垣が積まれた城がた〜くさん存在する。
例えば、安土城、竹田城、坂本城、三雲城、角牟礼城……むろん戦国時代だけではなく江戸時代だって穴太衆は存在していて、近世城郭の高知城も穴太積みだ!
400年経った今でも崩れない石垣を築ける「穴太衆」の技術は一目置かれ、引く手あまただったのだ。
主人公・匡介を介して見る戦国時代の職人の生き様
近江という国は職人が育つ地域で、主人公・飛田匡介が在籍する穴太衆のほかに、鉄砲作りのプロ集団「国友衆」も登場する。人を守る「楯」を築く職人と、人を殺める「矛」を作る職人・・・石垣 vs 鉄砲による技術の戦いも見ものだ。
ちなみに近江には「甲賀衆」もいて、彼らも彼らでものがたりを盛り上げるいい仕事をするんだなぁ~!!(><)
小説は、本のちょうど真ん中あたり「第6章 礎」からクライマックスへと向かっていく。5章までに出てきたエピソードは「全てこのクライマックスのためにあったのか!」というほどに、伏線が回収されていった。
舞台となるは、関ヶ原の戦いの前哨戦となる「大津城の戦い」。匡介たち穴太衆も戦に参加することとなるのだ。「え、職人さんって裏方じゃないの?」「なんで戦に呼ばれるの?」と思ったあなた! ネタバレするので理由は書きません(笑) ぜひ読んでみてください。穴太衆を題材にした小説は珍しいですし、知見を広めることができますよ~。
こ妄想を交えて城歩きをするのが好きな方は、さらに妄想を膨らませられる小説なので、おすすめです!!